派遣先から直接雇用を打診されたとき注意するべきこと

スーツをきて指を上げる男性 派遣社員の豆知識

派遣社員として働いている中で、派遣先から「直接雇用にならない?」と言われたらどうしますか?
直接雇用の打診があるということは、仕事で評価をされているということなので、嬉しくてその場で承諾をしてしまうかもしれません。

嬉しいからといって、派遣先からの直接雇用の打診に即答してしまうと後悔することになる危険性があります。

この記事では、派遣会社に10年間勤務し通算100名以上の派遣社員を直接雇用に切り替えてきた私が、派遣先から直接雇用の打診があった際の「注意点」や「取るべき行動」についてご説明していきます。

派遣会社を必ず通す

直接雇用になるにしてもならないにしても、まず必ず守らなければいけないのは派遣会社を通すこと。

派遣社員が直に派遣先と直接雇用の話を進めると、予期せぬトラブルになってしまう可能性があるのです。

派遣先が直接声をかけるのはルール違反

派遣という仕組みでは、派遣社員は派遣会社の社員です。

派遣先が派遣社員に直に直接雇用の打診をするということは、他の会社の社員を引き抜くことと一緒です。

これが全く関係のない会社の社員なら問題ないのでしょうが、派遣会社と派遣先は取引関係にあり、派遣社員はいわば商品です。

人を物に例えるのは良くない表現かもしれませんが、リース会社に例えたら、リース先の会社に貸しているコピー機を勝手に自分の会社のものにされたら困りますよね。

広告費をかけて採用した優秀な派遣社員を、派遣先に取られてしまうのは派遣会社にとって大きな損失なのです。

そのため、基本的に派遣先から派遣社員に「直接雇用にならないか?」と打診するのは、取引上NGな行為ということになります。

派遣先は、まず派遣会社に対して「派遣社員Aさんを直接雇用にしたい」という意向を伝えて、双方で合意し、しかるべき紹介料を支払ってから直接雇用にするというのが、通常の流れになります。

派遣先としては直接雇用の方が得

派遣先としては、派遣社員として働いてもらうよりも直接雇用の方が経費はかかりません。

なぜかというと派遣の場合は、派遣会社の取り分(マージン)があるからです。

派遣の仕組みでは、まず派遣先から派遣会社に派遣料金として「1時間いくら」というお金を支払います。

派遣会社は、その派遣料金から派遣社員に時給を支払い、残ったマージンから運営に必要な事務所費や人件費、広告費を差し引いて利益を出します。

派遣先が直接雇用に切り替えたい理由の一つに、そのマージン分を削減したいという思惑があります。

その派遣社員が優秀で評価が高いから直接雇用にしたい、というだけではないのです。

直接雇用に切り替えるかの判断をする上で、そのことを念頭に入れておいた方が冷静な決断ができると思います。

「派遣会社には内緒で」と言われたら

もし直接雇用の打診をされたとき派遣先から「派遣会社には内緒で進めよう」と言われたら気を付けてください。

なぜならその一言で、その会社は「派遣会社との取引上のルールやマナーを守れない会社」ということがわかるからです。

法律や仕組み上では、派遣社員が派遣先での勤務を終了し、派遣会社との雇用契約を終了したのちに、元派遣先に直接雇用として応募し就業することは何ら問題ありません。

しかし、ビジネスはお互いwin-winであることが原則です。

そのため、派遣会社に内緒で派遣社員を直接雇用にすることは派遣先の得にしかならず、それを意図的にするのは、ビジネスにおいてはルール違反になります。

そのような自社が得することしか考えていないような会社が、従業員のことを本当に考えてくれるでしょうか?

取引先とのビジネス上の約束が守れない会社が、自社の従業員との約束を守ってくれるでしょうか?

もし派遣先から「派遣会社には内密で」と言われたら、そのあたりを判断材料の一つにしたうえで、本当にその会社で直接雇用になって良いのかをじっくり考えてから結論を出すことをオススメします。

直接雇用になったあとどうなるか?確認するべきポイント4つ

直接雇用の打診を受けた際に、必ず確認しなければいけないのは「直接雇用になった後のこと」です。

給与、交通費の有無、賞与の有無、雇用形態、異動や転勤の有無、有給休暇の発生日などの待遇を含めて、派遣社員のときと何が違うのかということを考えたうえで、判断する必要があります。

入社してから「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、特に注意すべき点を4つお伝えします。

正社員?契約社員?それとも…

「直接雇用」は正社員だけを指している言葉ではありません。

派遣先から直接雇用の打診を受けて正社員になれると喜んでいたのに、よく聞いてみたらアルバイトだったということもあり得ます。

むしろ実際は、派遣社員からいきなり正社員に登用されるケースの方が少ないです。

まずは雇用形態を確認し、契約社員やアルバイトだったとしても直接雇用に切り替えるメリットがあるかどうかを考えたほうが良いでしょう。

また、正社員を狙っている人は「その先に正社員という道はあるのか。

正社員になるためにはどんなプロセスが必要か」ということも併せて確認することを推奨します。

給与の確認は必須

最も重要なことは、直接雇用に切り替えてからの給与です。

派遣社員時の給与がそのままスライドされるケースが多いですが、上がることもありますし、逆に下がるケースもあります。

給与自体が下がっても、直接雇用では交通費が別途支給になることがほとんどのため、それを含めて収入がアップするかダウンするかを計算し、直接雇用になるかの判断材料にしましょう。

有給休暇は引き継げる?

意外に盲点となるのが有給休暇です。

派遣社員として6か月以上勤務している人は、有給休暇が発生しているはずです。

しかしこの有休は派遣会社で発生しているもので、直接雇用に切り替えるということは別の会社に転職することと同じなので、引き継ぐことができない場合が多いです。

そうなると有休は消滅することになりますが、残っている日数が多い場合は少しもったいない気がしてしまいます。

直接雇用に切り替えるとき、有休を消滅させないための方法としては3つあります。

  1. 切り替えるまでの間に使い切る
  2. 派遣会社に買い取ってもらう
  3. 有給休暇を引き継いでもらえるように派遣会社に派遣先と交渉してもらう

派遣会社での買取りはほぼ難しいと思いますので、使い切るか引き継いでもらうかですが、結論を言うと「あまり有休にはこだわらない方が良い」です。

使い切るにしても、切り替えまでに期間があれば少しずつ使えるので職場に迷惑をかけることは無いですが、ほとんどの場合、その期間は一か月~二か月と短いのが現実。

その間に有休を使おうとすると、無理やり会社を休むことになって職場に迷惑が掛かります。

また引き継いでもらうにしても、あまりにそれにこだわって派遣会社と派遣先を交渉させるのは、あまり良い印象を与えません。

せっかく評価をしてもらって直接雇用になるという段階まで来て、有給休暇の使用でトラブルになるのはその先に悪影響を及ぼしかねません、
有給休暇については「消滅するのが当たり前。

使えたり引き継げたりしたらラッキー」というスタンスでいるようにしましょう。

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直接雇用はすべて一人で解決する必要がある

派遣社員として働いている間は、派遣会社のサポートがあります。

時給の交渉や、人間関係の悩み、家庭環境の変化などで発生する働き方の変更なども、派遣会社に相談すれば間に入って派遣先と折衝してくれます。

直接雇用になれば、それらはすべて自分で解決をしなければいけません。

直接雇用になった後の待遇があまり変わらないのであれば、派遣会社のサポートがなくなることが自分にとってどういう影響があるのか、考えておく必要はあるでしょう。

直接雇用に切り替わるまでの流れ

この章では、直接雇用の打診があってから直接雇用に切り替えるまでの流れをご紹介していきます。

順序をしっかり守って、スムーズに切り替えまでたどり着けるようにしましょう。

派遣先に了承を取ったうえで派遣会社に相談する

直接雇用の打診があったら、その旨を派遣会社に報告する必要があります。

ただその際に、まず声をかけてくれた派遣先の担当者に「本件を派遣会社に伝えても問題ないか」という確認をしたうえで派遣会社に相談したほうが良いです。

派遣先の担当者も、本気で言ったことではないかもしれませんし、しかるべき上長に確認をとっておらず見切り発車の場合もあります。

まずは直接雇用の打診が、会社としての意向なのかを確認した上で、派遣会社に相談するようにしましょう。

切り替え後の給与や雇用形態、有給休暇の引継ぎ可否などの待遇面も、このタイミングで派遣会社に確認してもらうようにお願いしましょう。

直接雇用になるか判断をする

派遣会社に相談してからは、基本的には派遣会社を通しての話し合いになります。

直接雇用後の待遇が明らかになったら、次に段階としては、本当に直接雇用になるべきかを再度しっかり考えましょう。

今だけではなく将来的に、直接雇用になることが自分にとって良いのか悪いのか、いままで挙げてきたような要素を判断材料にして、適切な決断をするようにしましょう。

派遣先の採用選考を受ける

直接雇用になることを決めたら、次は「派遣先の採用選考」を受けることになります。

切り替え日が決まるのが先か、派遣先の選考が先かは派遣先によって異なります。

現場で推薦をもらっても、ほとんどの場合それだけでは直接雇用になることはできません。

会社として採用するに足る人材かどうかを判断するために、面接や適性検査などの選考を受け合格する必要があります。

ただし、この段階で不採用になることはほぼ無いと思っていただいてOKです。

仮に不採用になったとして、その派遣社員はその後モチベーションを保って同じ派遣先で働くことができるでしょうか。

最悪の場合、派遣社員としても勤務継続を望まずに退職になる危険性もあります。

派遣先としてはその損失を考えたうえで直接雇用の打診をしているでしょうから、よっぽどのことがない限り採用選考で不採用にすることは無いはずです。

ただ派遣先によっては不採用になることもなくは無いので、もし不安な場合は、事前に派遣会社に採用率などを聞いておくとよいでしょう。

派遣会社の退職手続きと派遣先の入社手続きをする

無事採用選考が通ったら、残すは手続きのみです。

派遣会社では退職の手続きを、派遣先では入社の手続きをそれぞれ行います。

退職時はそれほど必要なものはありませんが、入社時はいろいろと用意しなければいけないものがあります。

採用が決まったら、早めに必要書類を確認して入社までに間に合うように用意しましょう。

まとめ・直接雇用の打診には安易に回答せず派遣会社に相談を

最後に重要なポイントをまとめておきます。

  • 直接雇用の打診があっても直に回答をしない
  • 派遣先に了承を取ったうえで派遣会社に相談する
  • 直接雇用後の待遇をしっかり確認する
  • 直接雇用後の待遇を確認したうえで、直接雇用になるべきかを考え判断する

派遣先から直接雇用の打診があるということはとても前向きなことです。

せっかくの良い話を、派遣先、派遣会社、派遣社員の三者がそれぞれ嫌な思いをすることなくスムーズに進めることができるように、ポイントを押さえて対応してくださいね。

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