残業40時間は違法?法定労働時間と平均残業時間などを元に解説

残業の悩み

「残業が毎日長くて、もうヘトヘト……」
「毎月のように残業時間が40時間を超えているけれど、違法じゃないのか?」
「こんなに残業しているのに残業代が少ないような気がする」

この記事では、

  • 月40時間超の残業は長い?
  • 月40時間超の残業って違法じゃないの?
  • どうしても長時間残業に耐えられないときの対処法

などを解説していきます。

目次

月40時間超の残業は長いのか?平均はどのくらいか

月40時間の残業となると、1日の労働時間が8時間勤務の会社で毎日2時間の残業を行っている計算となります。

それでは月40時間の残業は一般的にすると長いのでしょうか?

まずは厚生労働省が調査を行っている「毎月勤労統計調査 令和元年分結果確報」から、残業時間の平均をチェックしていきましょう。

厚生労働省のデータでは平均残業時間は10.6時間

厚生労働省が行う毎月勤労統計調査では、全就業形態の平均残業時間は『10.6時間』という結果となりました。

出典厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和元年分結果確報-第2表 月間実労働時間及び出勤日数 」

このデータだけを見ると、意外と平均残業時間って少ない…?と感じる人も多いでしょう。

ここで注意して起きたことが、厚生労働省が調査したデータではあるものの、調査の数字は企業からの申告によるものです。

そのため、実際の労働者の正確な時間が反映されていない可能性も考えられますよね。

上記調査の時間外労働時間が事実であれば、長時間による残業がここまで問題にはならないでしょう。

そこで民間が調査を行った残業時間のデータも、併せてチェックしていきましょう。

民間企業が行った調査の残業時間の平均は?

今回は、Open Worksが同サイトに投稿された6万8000件の社員口コミから残業時間の平均を調査結果を元にチェックしていきます。

企業からのデータではなく、労働者本人の口コミによるものであるため、より信頼性の高い情報であると言えるでしょう。

  • 0時間  4.0%
  • 3時間  1.7%
  • 5時間  2.1%
  • 10時間  7.2%
  • 20時間 13.0%
  • 30時間 14.5%
  • 40時間 13.7%
  • 50時間 10.0%
  • 60時間  8.7%
  • 70時間  3.6%
  • 80時間  6.9%
  • 90時間  1.6%
  • 100時間以上 12.9%

引用OpenWork 調査レポートVol.4

全体の平均残業時間は約47時間

上記のデータを全体的に平均すると、1ヶ月あたりの残業時間は「約47時間」となります。

ボリュームゾーンとしては20時間~40時間の方が多く、合計で41.2%です。

一方で、50時間以上の残業をしている方も43.7%と半数近くにのぼっています。

そうすると、「月40時間」の残業は決して短くはないけれど、特段に長いわけでもなく、ごく平均的な残業時間だといえます。

とはいえ、月40時間の残業を大きな負担に感じている方は多いでしょう。

月40時間の残業をすると平日の自由時間はあまりない

1ヶ月の出勤日数が20日だとすると、40時間の残業をすると1日あたりの残業時間が2時間になります。

定時が18時だとすると、残業をして仕事が終わるのは20時。

それから後片付けや着替えをして、帰宅するのが21時を過ぎる方も少なくないでしょう。

24時前後には寝ないと翌日の仕事に差し支えますから、夕食やお風呂の時間を除くと自由時間はあまり残りませんね。

通勤時間が長い方や、家事もしなければならない方なら、自分の自由時間はほとんどないでしょう。

このような生活が続くと、「月40時間の残業は長い」「違法じゃないの?」という気持ちが出てくるのも無理はありません。

そこで次に、月40時間の残業は違法ではないのかをチェックしていきましょう。

月40時間に限らず法定労働時間を超えることは原則NG

そもそも残業とは、あらかじめ個別契約で定められた労働時間を超えて働くことです。

労働基準法第32条では「1日8時間、1週40時間を超えて労働させてはならない」と定められています。

所定労働時間とは

就業規則等で定められた始業時刻から終業時刻までの時間から、休憩時間を差し引いた労働時間をいう。
なお、労働者によって所定労働時間が異なる場合は、最も多くの労働者に適用されるものを当該企業の所定労働時間とし、変形労働時間制を採用している場合は、期間内で平均したものを当該企業の所定労働時間とした。

引用厚生労働省「平成28年就労条件総合調査 結果の概況:用語の説明」

法定労働時間とは

時間外労働(休日労働は含まず)の上限は、原則として、月45時間・年360時間となり、
臨時的な特別の事情がなければ、これを超えることはできなくなります。
臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、
時間外労働 ・・・年720時間以内
時間外労働+休日労働 ・・・月100時間未満、2〜6か月平均80時間以内
とする必要があります。

原則である月45時間を超えることができるのは、年6か月までです。

引用厚生労働省「時間外労働の上限規制」

ただし、会社と従業員との間で労使協定を結べば、この法定労働時間を超えて労働させることができると労働基準法第36条で定められています。

この労使協定は、いわゆる「36協定」と呼ばれるもので、この協定を締結することで会社は従業員に残業をさせることができるのです。

36協定による残業時間の上限は原則として月45時間

ただし、会社は36協定さえ結べば、従業員に無制限に残業させてよいというわけではありません。

36協定を結んでも残業時間には上限が定められており、原則として「月45時間が上限」「年360時間が上限」とされています。

つまり月の時間外労働を45時間以内に抑えながら、年間としても360時間を超えることができません。

フレキシブルな労働にも対応できる「1年単位の変形労働時間制」も

通常は月45時間・年360時間の縛りがありますが、業種によっては繁忙・閑散期の幅が広く、対応が難しいこともあります。

そこで取り入れられるのが「変形労働時間制」です。労働時間を週・年単位で契約を行う働き方のことを指します。

トータルの労働時間はあらかじめ締結されている上限時間を超えないようにするは働き方です。

参考厚生労働省「1年単位の変形労働時間制」

従来はこの上限がなかったため、時間残業をさせる会社があとを絶ちませんでした。

しかし、「働き方改革」によって、大企業には2019年4月から罰則が適用されることになりました。

中小企業に対しても、2020年4月から罰則が適用されるようになります。

36協定が法律的に有効と認められる要件

36協定が法律的に有効と認められるための要件は、労働基準法第36条に定められています。

細かい要件もいろいろありますが、主な要件は以下のとおりです。

  • 労働者の過半数で構成された労働組合がある場合はその労働組合と会社が合意すること
  • 労働者の過半数で構成された労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する人と会社が合意すること
  • 合意内容を書面にすること
  • その書面を厚生労働省令の定めに従って行政官庁(労働基準監督署)に届け出ること

以上の要件を満たしていない場合は、形式上「36協定」が結ばれていても無効です。

その場合は、1時間でも残業させると違法となります。

固定残業代とは

みなさんの中には、「毎月○時間分の残業代」として一定の金額が支払われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

このように、実際の残業時間にかかわらず、毎月固定額の残業代が支払われる制度のことを「固定残業代」制度といいます。

実際の残業時間を把握しにくい場合によく使われている制度です。

ただし、この制度が正当と認められるためにはいくつかの要件があります。

実際には要件を正しく理解していないために違法な状態で固定残業代制度を使っている会社も多々あります。

詳しくはこの後で解説します。

月40時間の残業が違法になる場合もある

残業代 電卓

どのようなケースで月40時間の残業が違法になるのかをご紹介していきましょう。

サービス残業をさせられている場合

36協定が適切に結ばれていて、残業時間の上限である45時間以内の残業であっても、適切な残業代が支払われていない場合は違法となります。

働き方改革によって残業時間が罰則付きで規制されると、サービス残業がこれまで以上に増える可能性があります。

働いた分の残業代がきちんと支払われているかどうか、よく確認をしましょう。

「うちの会社では残業は長いけれど、サービス残業はない」と思っている方も、残業代が支払われていない可能性があります。

具体的には、以下の点を確認しましょう。

業務に関連する行為

会社の指揮命令下に置かれている時間は、すべて労働時間に該当します。

しかし、実際には業務の準備などの関連行為をしている時間でも、給料が支払われていないことがよくあります。

以下のような「業務に関連する行為」を労働時間外に行っている場合は、会社は残業代を支払わなければならない可能性が高いです。

POINT

  • 制服や作業服への着替え
  • 事業前の朝礼や体操
  • 掃除や開店準備、後片付け
  • 休憩時間中の電話や来客への対応
  • 飲食店での仕込み、トラック運転手の荷待ちなど
  • 警備員などの仮眠
  • 会社の指示で参加する研修

    持ち帰り仕事

    勤務時間内では処理しきれない業務量を与えられているため、家に仕事を持ち帰っている方もいるかもしれません。

    このような場合は、家で仕事をした時間も残業として認められます。

    次に解説するように、自主的に残業や持ち帰り仕事をした場合は、法律上の「残業」にはならないので注意しましょう。

    固定残業代制度が正しく使われていない違法なケース

    固定残業代制度は法律的には認められていますが、実際には違法な状態でこの制度を使っている会社があることを先ほどお話ししました。

    具体的にどのようなケースで違法になっているのかを見てみましょう。

    基本給と残業代が明確に区別されていない

    残業代を固定金額で支給する場合は、就業規則などに基本給と残業代を明確に記載して従業員に周知しなければなりません。

    その場合、「○時間分の残業代として△万円」というようにみなし残業時間と残業代の金額も明確に記載する必要があります。

    「基本給は1ヶ月あたり30万円とする(固定残業代を含む)」と記載してあるだけでは基本給と残業代が明確になっていません。

    この場合は、支給された給与とは別に、さらに残業代が発生する場合もあります。

    実際の残業時間がみなし残業時間よりも長い

    固定残業代制度では、実際に残業した時間がみなし残業時間より短くても固定金額で残業代を支払わなければなりません。

    例えば、40時間分の残業代として6万円が支払われると決まっている場合は、実際には20時間しか残業しなかった場合でも会社には支払い義務があります。

    実際の残業時間がみなし残業時間を超えた場合には、会社はその超えた分の残業代を支払わなければりません。

    会社から「残業代は、みなし残業で支払われている」と言われても、何時間残業しても同じ額しかもらえないというわけではありません。

    月40時間の残業でも過労死が認定される場合もある?

    長時間残業に苦しんでいる方であれば、誰しも一度は「過労死」という言葉が頭をよぎったことがあるのではないでしょうか。

    そこで、月40時間の残業の場合、過労死や自殺が労災として認定されることはないのか?をチェックしてみましょう。

    過労死等の認定基準は月80~100時間以上の残業

    労災は労働基準監督署が個別の事情を調査して認定するものです。

    したがって、残業が月何時間を超えれば労災が認定されるという明確な基準が定められているわけではありません。

    ただ厚生労働省では、目安としての過労死等認定基準を次のように定めています。

    POINT

    • 残業時間がおおむね月45時間を超えて長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まる
    • 発症前の2~6ヶ月にわたって1ヶ月平均の残業時間がおおむね80時間を超える場合は業務と発症との関連性が強いと評価できる
    • 発症前の1ヶ月の残業時間がおおむね100時間を超える場合は業務と発症との関連性が強いと評価できる

      このことから結論として、月40時間の残業では、残業時間のみを理由として過労死が労災認定される可能性は極めて低いといえます。

      残業時間が短くても過労死等が認定されるケースはある

      厚生労働省が定める過労死等の認定基準について、上記では残業時間のみに焦点を絞ってご紹介しましたが、他にもさまざまな要件が定められています。

      長期間にわたる著しい疲労の蓄積が認められるためには、確かに残業時間も重要な要素ですが、それ以外の要素も考慮されます。

      例えば、業務量や業務内容、作業環境等による負荷の大きさも重要なポイント。

      また、短期間であっても日常業務に比して特に身体的、精神的に過重な負荷がかかる業務に従事したことも一つの認定要件とされています。

      したがって、残業時間が月40時間以内であっても、その他の事情によっては労災が認定される可能性もあります。

      残業時間の体制の改善を会社に申し出ることも大切

      自分の裁量で仕事を早く切り上げることができる方もいますが、自分の努力だけでは改善するのが難しい職場で働いている方も多いことでしょう。

      そのような場合は、会社に改善を申し出るという方法もあります。

      とはいえ、残業が長年常態化している職場であれば、いかに正論を申し出てもすぐに改善するのは難しいでしょう。

      例えば「ノー残業day」などの導入を提案をし、残業を減らしても成果は今までどおりにあげるという体制づくりに協力しましょう。

      それでも会社と交渉したりしても改善するのが難しい場合は、その職場にこだわりすぎずに転職を考えてみるのも一つの方法です。

      未払い残業代を請求する方法

      残業代を計算した結果、未払い残業代があることがわかったら会社に支払いを請求することができます。

      未払い残業代を請求する方法としては、

      • 労働基準監督署に相談する
      • 自分で会社と交渉する
      • 弁護士に依頼する

      という3つの方法があります。

      労働基準監督署に相談する方法

      労働基準監督署は、管轄地域内にある会社などが労働基準法などの法規をきちんと守っているかを監督する機関です。

      残業代の未払いは労働基準法違反になるので、労働基準監督署に相談することで解決してもらえることもあります。

      相談や報告を受けた労働基準監督署の監督官が会社を調査した結果、違法な状態が確認されると会社に対して是正勧告が出されます。

      会社がこの是正勧告に従えば、問題は解決します。

      ただし、是正勧告には法的な強制力はないので、無視する会社も多々あります。

      また、労働基準監督署は多忙で、過労死などの重大案件に優先的に対応するため、残業代の未払いの問題では動いてもらえない可能性もあります。

      無料で気軽に実行できる方法ですが、実効性の面では難点があるといえます。

      自分で会社と交渉する方法

      自分で会社と交渉するためには、未払い残業代を請求する前に証拠をしっかり確保しておくことがまず重要となります。

      なぜなら、タイムカードや業務日報、就業規則、その他さまざまな証拠によって残業した事実を証明できなければ会社に相手にされない恐れがあるから。

      証拠を確保して、実際に未払い残業代を請求するときは、まず内容証明郵便で請求書を会社に送付するのが一般的です。

      残業代の請求権には2年の時効期間があるため、内容証明郵便を送付することで事項の進行を止め、かつ、その証拠を残すという意味もあります。

      それから会社側と未払い残業代の支払いについて、じっくりと交渉することになります。

      注意点としては、会社側との交渉は精神的な負担が大きいこと。

      それに、会社側は顧問弁護士を立ててくる場合が多いので、自分ひとりで対応すると不利になってしまうことが多いので、基本的には弁護士に頼ったほうが賢明でしょう。

      弁護士に依頼する方法

      弁護士に依頼すると、以上のステップを全て代行してくれます。

      証拠が十分に確保できていない場合でも、裁判手続を使って会社から証拠を提出させる手段をとってもらえます。

      会社との交渉も代行してくれますし、話し合いがまとまらなければ労働審判や訴訟で的確に主張・立証をしてくれるので残業代を獲得できる可能性が高まるでしょう。

      ただし、当然ですが弁護士に依頼するにはそれなりの費用がかかります。

      未払い残業代の金額が少額の場合は、費用のほうが高くつくことになるかもしれません。

      費用を負担してでも依頼する価値があるかどうかが気になる場合は、まずは無料相談を利用するなどして弁護士に相談してみるといいでしょう。

      消滅時効には要注意

      残業代の請求権は時効によって「2年」で消滅します。

      つまり、遡って請求できる未払い残業代は、2年前のものまでということです。

      退職した後は、すぐに内容証明郵便を送付して請求しなければ、時間が経過するごとに請求できる未払い残業代が減ってしまいます。

      会社を辞めてから未払い残業代を請求するなら、在職中に証拠を十分に確保しておき、辞めたらすぐに請求するようにしましょう。

      平均残業時間ではなく法定労働時間を元に考えよう

      残業40時間は長いのか?というテーマを元に解説をしてまいりました。

      厚生労働省のデータでは平均残業時間は10.6時間、民間のデータでは平均残業時間は約47時間ということがわかっています。

      しかしこれは業種・職種によっても異なります。大切なのは、法定労働時間を超えていないか・自分自身が無理をしていないか?ということだと言えます。

      法定労働時間を超えているのであれば然るべき対処を行うべきですし、法定内であっても、自分自身がきついと感じているのであれば環境を変えることも大切です。

      自分自身を守るためにも、法定労働時間を正しく把握しながら自分の体としっかりと相談をしましょう。

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