【かかりつけ薬剤師】にならない薬剤師の将来は暗い?

かかりつけ薬剤師 薬剤師のお仕事

【かかりつけ薬剤師】制度が発足して3年目に突入しました。

かかりつけ薬剤師になるための条件をクリアするにはちょっと大変ではありますが、報酬や患者さんの信頼度なども上がることが予測されます。

また、かかりつけ薬剤師ではない薬剤師もまだまだ、たくさんいます。

その中で、かかりつけ薬剤師なることをあえて、選択しない薬剤師もいます。

かかりつけ薬剤師になりたいけれど、かかりつけ薬剤師になるために必要な研修認定薬剤師になっていないからなどという条件不足からなれないからというのではありません。

かかりつけ薬剤師になるのは現在のかかりつけ薬剤師制度では、患者さんのためにならずと、かかりつけ薬剤師としての充分なスキルを持ちながら、従来の薬剤師に留まろうとしている薬剤師もいます。

当記事では、かかりつけ薬剤師を選択しない薬剤師の将来は暗いのか?ということについて考えてみたいと思います。

かかりつけ薬局や健康サポート薬局として運営するのにはかなりの負担を強いられる

厚生労働省が2015年に掲げた「患者のための薬局ビジョン」の中に2025年までに全ての薬局が「かかりつけ薬局」として運営することを目標にしています。

かかりつけ薬剤師の制度が平成28(2016)年4月からスタートしました。

かかりつけ薬剤師になってかかりつけ薬剤師としての仕事を行なえば、「かかりつけ薬剤師指導料」が加算されます。

また、健康サポート薬局という語句がかかりつけ薬局と並んでよく出てきますが。

健康サポート薬局とはかかりつけ薬局の機能に患者さん、近隣地域住民の健康をサポートする機能を持ちあわせた薬局のことです。

まず、かかりつけ薬局として開設認可を受けるには従来の薬局の開設条件に色々な機能や役割を上乗せしなければいけません。また、その薬局に常駐する薬剤師をかかりつけ薬剤師にしなければいけません。

このように健康サポート薬局にするためには設備、人事(かかりつけ薬剤師の配置・24時間対応や土日の開局など)、在宅対応などが必要であり、小規模薬局にはかなりの経済的負担を強いられることになります。

かかりつけ薬剤師の給与を引き上げなければいけない

たとえば、かかりつけ薬剤師には他の薬剤師よりは当然、高給にしなければいけません。

前よりも、利益が上がっているのであればいいですが、利益はそのままであれば、かかりつけ薬剤師をおいたことで減益になるのは当然のことです。

経営危機になってでも健康サポート薬局としてやっていくほうがいいのだろうかと迷いに迷い、負担の多さに従来の薬局のままで続行する薬局もまだまだ、たくさんあります。

このようなことから、厚生労働省の2025年には全薬局をかかりつけ薬局、健康サポート薬局への移行というのはあまりにも理想論で、その目標達成には少々、難があるという専門家もいます。

かかりつけ薬剤師以上に知識を蓄えた一般の薬剤師も当然、いる

また、薬剤師がかかりつけ薬剤師として承認されるためには、色々なハードルがあります。

まず、実務経験3年以上、同じ薬局に半年以上在籍、週32時間以上勤務という条件が義務づけられています。

これはかかりつけ薬剤師という役割からすれば、基本中の基本です。

あまりにも短時間のパート薬剤師や度々、転職を繰り返す薬剤師がかかりつけ薬剤師として勤務するというのは、誰もが抵抗を感じるところでしょう。

そして、上記のような条件をクリアした上に研修認定薬剤師に認定されなくてはかかりつけ薬剤師になることはできません。

この研修認定薬剤師の資格を有するためには、一定単位以上の研修を受けなければいけないのですが、これが結構、大変です。

途中で、色々な事情で挫折したという話もよく耳にします。

薬剤師毎の知識量に差がある

薬剤師は国家試験に合格して手続きすれば、何事もなければ、人生を全うするまで、薬剤師でいられますが、研修認定薬剤師は3年毎の更新制になっており、この間もやはり、一定単位以上の研修を受けなければいけません。

ただ、自己研鑚していつも薬剤師としての資質を下げないようにすることは何もかかりつけ薬剤師に限ったことではなく、薬剤師として最も大切な部分です。

薬剤師会公認の研修で自己研鑚するというのももちろん、ありですが、自分流のやり方でかかりつけの薬剤師には負けないぐらいの知識を蓄えているという薬剤師もいるわけです。

また、親の介護、乳幼児を抱えて、なかなか公認の集合研修に出向くことができないため、ちょっとしたすき間時間を活用して知識の補充に勤しむ薬剤師もいます。

このように勤勉であって、かかりつけ薬剤師以上の能力を持つ薬剤師が一般の薬剤師の中にたくさん、埋もれているわけです。

このような薬剤師に出会えた患者さんはとてもラッキーとしかいいようがありません。

なぜなら、かかりつけ薬剤師に説明を受けると、「かかりつけ薬剤師指導料」を患者さんは支払わなければいけないからです。

こちらの話題については後述致します。

かかりつけ薬剤師の定義はかかりつけ薬剤師でなくても意識している

日本薬剤師会は、かかりつけ薬剤師を「かかりつけ薬剤師とは、薬による治療のこと、健康や介護に関することなどに豊富な知識と経験を持ち、患者さんや生活者のニーズに沿った相談に応じることができる薬剤師のことをいいます(引用)」と定義しています。

上記のような定義は、かかりつけ薬剤師という称号(?)がなくても約9割以上の薬剤師が実践しているはずです。

たとえば、ケアマネージャ―の資格をとる薬剤師が結構、います。

それは介護の仕事するためではなく、そういう患者さんの相談相手になるための知識としてケアマネージャーの勉強をし、その延長先にケアマネージャーの資格をついでに取得したというものです。

先程のかかりつけ薬剤師の定義は全然、特別なことではなくて全ての薬剤師に通じ、実践していることです。

ケアマネージャ―の資格はかかりつけ薬剤師になるのに必要なものではありませんが、自分なりに患者さんに役に立ちたくて行動をおこしているわけです。

また、かかりつけ薬局にいる薬剤師全員がかかりつけ薬剤師である必要がないということなのですが、かかりつけ薬剤師ではない薬剤師はかかりつけ薬剤師が患者さんに行うサービスをやらないかというとそうではなく、目の前にいる患者さんのTPOに合わせて最善のサービスをしようと考えているわけす。

患者さんへのサービスが同じ薬局にいるかかりつけ薬剤師と一般の薬剤師に差異があっていいものでしょうか?

患者さんから見れば、かかりつけ薬剤師ではなくても同じサービスを受けられると思います。

かかりつけ薬剤師に面倒をみてもらうと、お金が高くなる

かかりつけ薬剤師指導料はかかりつけ薬剤師のものです。

患者さんがかかりつけ薬剤師を指名すると、指名したかかりつけ薬剤師からサービスを受けることができる分、そうでない薬剤師からサービスを受けた場合よりも薬局に支払う金額が高くなります。

しかし、よく考えると、おかしな話です。

かかりつけ薬剤師の指名登録をするという手間がかかっているのに、お金は高くなるのですから。

よく、何かに登録すると、初回分は無料になるとか、●●料は不要」というサービスがよくあります。

登録に時間を頂き、あるいは情報をありがとうございましたということで、幾分か安くなったりするサービスが主流です。

しかし、かかりつけ薬剤師制度は違います。

わざわざ登録したのに前より手数料(かかりつけ薬剤師指導料)が増えるのです。

それに門前薬局ではない、小規模の個人薬局などは門前薬局に比べて多くのお金を患者さんからもらう算段になるのですが、かかりつけ薬局になればさらに支払い金額は上乗せされます。

患者さんのためにかかりつけ薬剤師になるのはやーめた!?

かかりつけ薬剤師になろうと思ったけれど、患者さんのために存在するはずのかかりつけ薬剤師を指名した患者さんは、さらに高いお金を支払わなければいけないのはおかしい、かかりつけ薬剤師にならなければ、患者さんの負担は軽くなるから、このかかりつけ薬剤師指導料がなくなるまでかかりつけ薬剤師にならないという薬剤師もいるわけです。

このような意味合いから考えれば、どっちの薬剤師が患者さんのためになるのだろうと考えてしまいませんか?

他よりも高く支払ったという思いが消えるほどのクオリティの高いサービスを提供するというかかりつけ薬剤師ももちろん、いると断言しますが、国から認められた薬剤師である以上、かかりつけ薬剤師ではなくても、支払ってもらうお金は安くても、患者さんに最善のサービスを行うのは当然のことでしょう。

制度は変更される

もしかすると、しばらくこのままかかりつけ薬剤師指導料算定は続行したとしても、途中で変わる可能性があるのではと、思うのです。

なぜ、そう思うのか、それはお薬手帳の件がそうだったからです。

簡単にいいますと、以前、お薬手帳は患者さんに必ず携行してもらって、薬剤師が処方せんに書かれた薬の名前、注意事項などを記した紙をお薬手帳に貼ると加算されるということでした。

わざわざ、お薬手帳を持ってきていただいことで患者さんが支払う金額が高くなるとは釈然としないなあと、この制度に矛盾を感じていました。

凡人中の凡人の私でさえ、このようなことを思ったぐらいですから、他の薬剤師も同じことを思ったのではないでしょうか?

常にお薬手帳を携行してもらいたいということも含めた制度なのですが、お薬手帳を持参して薬剤師に貼ってもらったばかりに支払い金額が高くなるわけですから、お薬手帳の常時携行の推進が思ったほど、うまくいっていなかったかもしれませんね。

そして、間違いなくそうだったんだとわかることがおきました。

2016年の調剤報酬改正がそれを物語っていますよね。

これも極く、簡単に言いますと、お薬手帳を持ってこられなかった場合、支払う金額が増え、持ってこられれば、減るという制度になったわけです。

初めて来局された、あるいは半年以上の期間をあけて来局された、そしてお薬手帳を持参しなかった場合はお薬手帳を持ってきた場合よりも金額が高くなるということになりました。

この形こそが最善の形だと、私は考えます。

もちろん、こっちの制度のほうがお薬手帳を携行する患者さんは増えます。

話を元に戻します。

これをかかりつけ薬剤師に置き換えてみましょう。

つまり、かかりつけ薬剤師を指名し、指導を受けた場合、他の薬剤師の指導よりも安くなるというのが理想の形ではなかろうかと考えます。

おそらく、このほうがかかりつけ薬剤師をなるべく指名しようと患者さんが考えると同時に、その光景をみてかかりつけ薬剤師の資格をとることを考える薬剤師の数もまた、増えるのではないでしょうか?

やはり、どの職業もそうだと思いますが、収入アップだけを目指して一生懸命に仕事をするというよりは、そこに誰かの役に立つという概念があれば、さらにその仕事に対する意欲が生まれてくるはずです。

ところで私は、「なぜ、かかりつけ薬剤師という制度が設けられたのか」ということを自分なりに考えてみました。

かかりつけ薬剤師をつくったのは、薬剤師自身である

厚生労働省がかかりつけ薬局やかかりつけ薬剤師の制度が始まったきっかけや理由を掲載しています。

調剤の仕事ばかりに重きを置き、OTC医薬品や衛生ケア製品、つまり、国民が自らの判断で活用できる製品を薬局内においていないとか、患者さんのための医薬分業になっていないなど、どちらかいうと、かかりつけ薬剤師という格付けは薬剤師の怠慢な業務実態に対する危機感や警告から生まれたと言っても過言ではないかもしれません。

また、地域に根差した薬局とは程遠いということに加えて、調剤ミスや調剤報酬に関する事件などの続出があって、揺らぎは始めていた薬剤師への信頼を立て直すための一つの手段と言えなくもないですね。かかりつけ薬剤師制度は……。

従って、国の資格である薬剤師という名の元に胡坐をかいていた私たち薬剤師がかかりつけ薬剤師を作らせたのです。

きちんと仕事を全うしていれば、かかりつけ薬剤師など必要なかったはずです。

どんな状況でも努力を続ける薬剤師の将来は明るい!

2025年にはほとんどの薬局をかかりつけ薬局にするということで、大多数の薬剤師がわざわざかかりつけ薬剤師になるというのではなく、かかりつけ薬剤師と従来の薬剤師の距離がグッと近くなって差がなくなっていけば、あえてかかりつけ薬剤師を作りだす意味も当然、なくなります。

従って、かかりつけ薬剤師になるならないは、そんなに重要なことではないと、思うのです。

ならないという選択したからといって、薬剤師の仕事の手を抜くとは到底、考えられません。

目指す2025年にはかかりつけ薬剤師にほとんどの薬剤師がなっているのではなく、わざわざかかりつけ薬剤師と区別する必要がない水準にまで大多数の薬剤師がスキルアップしていけば、決して薬剤師の将来は暗くない、明るくなるのです。

薬剤師の将来が明るいかそうでないかは、自分たち薬剤師の中にその決め手があるわけで景気の良し悪し、薬剤師は売り手市場ではなくなったなどといったことにふり回されることとは無関係なのです。

ということで、薬剤師の将来を明るくするのは、従来の薬剤師であるということを肝に銘じて仕事に専心しましょう。

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