派遣社員の労災は派遣元へ申請する?具体的な手続きや流れを解説

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「派遣で働いているけど、業務中にケガをしたときの労災申請はどっちにするの?」
「労働災害に合った場合、派遣先から何か証明してもらう必要はあるの?」

労災というのは仕事中や通勤中に起きたケガ(災害)などのことで、会社は労災が起こった際、労働者の治療費や休業に対して補償をする必要があります。

その補償をするために入っている保険が「労災保険」。

例えば「療養給付」という補償は、業務または通勤が原因取った傷病の療養を受けるときの給付で、簡単に言うと病院にかかった診察費などを支払ってくれるというものです。

その他にも、「休業給付」「傷病給付」など様々な補償があります。

労災保険は雇用形態にかかわらず、ほとんどの会社で加入をしているはずです。

正社員やアルバイトなどの直接雇用の場合は、会社が労災保険に加入しているので会社に申請すればOKです。

しかし派遣の場合は、派遣先と派遣会社の2社が介在しているため、どちらで加入しているのか?どちらに申請をすればよいのか?など少し困惑しますよね。

この記事では派遣会社で10年間勤務している筆者が、派遣の労災申請についての具体的なフローと、押さえておくべきポイントを解説していきたいと思います。

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労災の申請をするのは派遣会社?派遣先?

労災保険は会社が加入し、労働者が仕事上や通勤でケガをした際に補償するものですが、派遣の場合は派遣先と派遣会社のどちらで加入しているのでしょうか?

労災保険は派遣会社で加入している

派遣社員は派遣会社に雇用されているため、労災保険も派遣会社で加入しています。

保険料は、派遣会社が納めています。

労災保険の場合は、労働者の負担が無いので給与天引きが無く、どちらで加入しているのかわかりにくいかもしれません。

その際は「雇用されている会社=給料を支払っている会社」で労災保険に加入していると覚えておけばOKです。

労災の保険給付の申請の手続きをするときは、まず派遣会社に連絡してフローを確認するようにしましょう。

自分の派遣会社が労災保険に加入しているか不安という方は、派遣会社に確信しても良いでしょう。

厚生労働省の指針でも下記のように派遣会社に指導していますので、通常であれば加入しているはずですが、入社間もないと手続き中ということもありますので注意しましょう。

「派遣元事業主は、労働社会保険に加入する必要のある派遣労働者については、労働社会保険に加入させてから労働者派遣を行うこと。新規に雇用する派遣労働者の場合は、派遣後、速やかに労働社会保険の加入手続きを行うときは、この限りでない。」
※引用:厚生労働省(当時の労働省)告示第137号「派遣元事業主の講ずべき措置に関する指針」第二の四

派遣先からの証明も必要

労災保険は派遣会社で加入する一方で、労働災害が発生するのは派遣先です。

ということは「労働災害を防止するための責任」は派遣会社に加えて、派遣先も負っていることになります。

そのため、実際に労働災害が発生してしまった際は、派遣先でも労働災害に関する証明をするなどの手続きする必要があります。

派遣先への手続き申請は派遣会社経由で行う場合もあれば、派遣社員自身で行う場合もあります。

派遣先や派遣会社によってルールが異なるかと思いますが「派遣先にも証明してもらう必要がある」ということは、忘れないようにしてください。

労災申請のときに必要な書類と手続きフロー

労災保険は派遣会社で加入していますが、労災保険の給付申請をするときは派遣会社と派遣先の双方に必要な手続きをしてもらう必要があります。

労災申請のフローと、必要な書類はどんなものがあるかを見ていきましょう。

派遣会社(および派遣先)に報告する

労働災害が起こってしまった場合、まずは派遣会社に報告をしてください。

派遣先で勤務している場合、労働災害が起こっても派遣会社は把握できません。

ほとんどの場合は、派遣先から派遣会社への報告があると思いますが念のため派遣社員からも連絡しておいたほうが良いでしょう。

また通勤途中で起こった通勤災害の場合は、派遣先および派遣会社の双方に連絡しておくようにしましょう。

労災病院で治療しているケースと、労災病院以外で治療しているケースがあると思いますので、どこの医療機関で治療を受けたかもしっかり覚えておいて、報告しましょう。

基本的には領収証をもらっているはずなので、なくさず保管しておけば問題ないかと思います。

また詳しくは後述しますが、労災で病院にかかる場合は、健康保険証は使用しないようにしてください。

あとあと手続きが煩雑になります。

病院を受診する際に、はじめに「労災」であることを忘れずに伝えるようにしましょう。

派遣会社から申請書を作成してもらう

派遣会社に連絡した後は、雇用主である派遣会社から申請書を作成してもらう必要があります。

派遣会社は、派遣先からの連絡を元に必要書類を作成します。

例えば、労災病院で治療を受けた場合は「療養補償給付たる療養の給付請求書(通称5号用紙)」を。

労災病院以外で治療を受けた場合は「療養補償給付たる費用請求書(様式第7号)」を作成します。

まずは、派遣会社からこの申請書を発行してもらうことが第一段階です。

派遣先からも申請書に記入してもらう必要あり

派遣で労災申請をする場合、派遣会社の証明のほかに派遣先の添付書類が必要になります。

いつ、どういう状況で、どんな労働災害が発生したかは、派遣先にしかわかりませんので、それを証明してもらわなければならないのです。

手続きの第二段階としては、前述の派遣会社で作成してもらった申請書を派遣先に提出します。

そうすると、派遣先が申請書裏面の「派遣先証明欄」に記名と押印、負傷日時と発生状況の記入をしてくれます。

基本的には最初に報告した時点で、派遣会社から手続きの指示があるとは思いますが、派遣先企業に対して依頼をしなければいけないことがあることは、忘れないようにしておきましょう。

必要書類を手に入れたら、該当機関に提出する/h3> こうして作成した申請書は、派遣社員から下記いずれかの機関に提出します。

労災病院で治療を行った場合は、その労災病院へ。

労災病院以外で治療を行った場合は、医療機関からもらった領収書と一緒に、労働基準監督署へ提出してください。

その他、添付する必要がある書類があるかも場合もありますので、派遣会社の指示に従いましょう。

労災を申請する時のポイント

労災はなかなか発生することはありませんし、労災で病院を受診することに慣れてない人もいると思います。

この章では、労災保険を適用するときに押さえておくべきポイントは何があるの?という疑問にお答えしていきます。

健康保険証は使用しない

まず気を付けるべきなのは、労災で治療を受ける際は、健康保険証は使用してはいけないということ。

労災保険が適用されると、治療費は全額労災保険の負担になるため、自己負担は無く治療を受けられます。

しかし健康保険を使用してしまうと、自己負担が3割発生してしまうので損することになります。

もし健康保険を使用した場合でも、あとで変更することは可能ですが手続きが少々面倒になります。

ですので、労災で治療を受ける際は必ずその旨をはじめに医療機関を伝えて、労災保険を適用して治療を受けるようにしましょう。

治療費の個人負担は無いが、一時的に立て替える必要あり

受診した病院が労災病院だった場合、窓口で支払う治療費は無料です。

しかし、労災病院以外で治療した場合、一時的に治療費の全額を自己負担する必要が発生します。

健康保険を使用した際の自己負担は3割ですので、一時的でも「治療費の全額を自己負担」するとなると結構な額になることがあります。

必要書類を労働基準監督署に書類提出したあと、口座にかかった治療費が全額振り込まれるので実質負担はゼロですが、一旦は自分で支払う必要があることだけ注意しておきましょう。

退職した後でも申請が可能だが、期限があるので注意

派遣社員が労災にあった際は、派遣会社を退職した後でも申請することが可能です。

特に労災による怪我や病気の治療が長期化してしまうときは、退職後も療養給付の申請する必要があります。

ちなみに、二回目以降の療養給付の申請は派遣会社や派遣先の証明は不要ですので、安心して下さい。

申請する期限は、療養費用の給付の場合は2年以内に申請をしない請求する権利が消滅してしまいますので、早めに申請するよう注意しましょう。

遺族給付は5年以内など、給付内容によって違いがありますので、注意してください。

下記は外国人向けの資料になりますが、わかりやすいので参考にしてみてください。

参考:厚生労働省「労災保険請求のための ガイドブック」

派遣会社や派遣元が申請書を作ってくれないときは?

稀ですが、会社が労災の申請を面倒がり、労災申請書類の作成に協力してくれないことも残念ながらあるようです。

そんなときも申請は可能。

事業主証明欄などは空白のままにして「会社が認めてくれなかった旨」を伝えたうえで書類を提出してください。

提出書類と事実関係を調査したうえで、労働基準監督署長が労災かそうでないかを決定してくれます。

まとめ

いかがでしたか?
労災保険は派遣会社で加入していて、申請する際は派遣会社と派遣先の双方に手続きが必要なことがお分かりいただけたと思います。

また注意点として、労災で診察をするときは、健康保険は使用しないことだけは最低でも覚えておきましょう。

労災保険に入っていれば、万が一のことがあったときは安心ですが、まずはケガや病気にならないように自己管理するように心がけてくださいね。

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