「新卒で入った会社が肌に合わなかった」、「卒業と同時に内定が貰えなかった」など、近年はいわゆる第二新卒として就職や転職に励む人も少なくありません。
第二新卒での転職は一般的に内定をもらうハードルが高いと言われています。
しかし、第二新卒だからといって、転職をあきらめてしまう必要はありません。
第二新卒でも自分を取り巻く就活状況を正確に把握し、各ポイントを抑えた転職活動を行うことで内定を勝ち取ることは可能なのです。
今回は第二新卒から転職を目指す人のために、スムーズに転職を成功させるコツをご紹介します。
新卒者との差別化を図ることが大切
第二新卒での転職では、まず新卒者との差別化を図ることが大切です。
一般的に新卒者よりも不利と言われる第二新卒ですが、やり方次第では第二新卒ならではのアピールポイントを活かすことができます。
企業が第二新卒に求めるもの
企業が第二新卒者を採用試験で見る時、中途採用者のような即戦力を求めるわけではありません。
中途採用者ほど社会人経験が長くないので、仕事で残した「実績」をアピールすることも厳しいでしょう。
第二新卒者は中途採用者よりもフレッシュ、新卒者よりも社会慣れした人物像が求められる立場にあるのです。
第二新卒者として企業へアピールできるポイント
第二新卒者は実績という面では中途採用者には及びませんが、経験という面では新卒に勝ることが出来ます。
従って、身につけて来た最低限のビジネスマナーやパソコンの基本操作などの業務スキルをアピールすることで、新卒者との差別化を図ることが重要です。
少ない社会人経験の中でも自分が熱心に取り組んだポイントは予め洗い出しておきましょう。
学生時代の活動を中心にアピールしてしまうと新卒者と被ってしまうので、できる限り社会人として勤めた時期のエピソードを盛り込むことがポイントです。
転職理由はポジティブに伝える
転職理由は採用試験で深堀りして聞かれることの多いポイントです。
特に第二新卒者の場合は前職を早い段階で離職している(又は卒業後しばらく就職していない)ので、転職理由を伝える際には注意すべきポイントがあります。
前職の企業を悪く言うのは基本的にNG
面接官は「転職者が前の会社で辞めたくなる理由があった」という目線で採用試験を行っています。
採用した人が自社でもまたすぐに辞めてしまう可能性がないか確かめるために、転職理由が妥当であるかを深堀りして聞くのです。
もちろん「上司のパワハラ」や「ブラック企業だった」など、転職に際して妥当と思われるような理由もあるでしょう。
しかし、面接という限られた時間内でこうした複雑な状況を転職理由にすることは得策ではありません。
「給与面での不満」や「人間関係に問題があった」といった理由も、採用側から見れば「自社で同じことを感じないとは限らない」と思われてしまいます。
前職へのネガティブな発言は基本的に避けることがオススメです。
転職理由は可能な限りポジティブに
第二新卒者が面接で転職理由を伝える上で大切なのは「会社のせいにしない」「ポジティブな理由である」という2点になります。
正当な理由であっても前職に対するネガティブな転職理由は、面接官の目には「人のせいにする癖のある人かもしれない」と映ってしまう可能性があるのです。
転職理由を伝えるには「退職理由」と「志望動機」に一貫性を持たせることがコツと言えます。
例えば前職での仕事に納得がいかず転職を決意した場合、「前職では叶えられない自分の希望を御社で実現したい」というように論理的に転職理由を構築することが重要です。
自分が前職に対してネガティブな気持ちを持っていたとしても、それをポジティブに転職の動機へ結び付けましょう。
転職のための準備に時間をかける
前職を辞めて転職に臨む理由は人それぞれ、中にはなるべく早く次の仕事を決めたい事情を抱えている人も居るでしょう。
しかし焦りは禁物です。
第二新卒での転職は特に、ゆっくりと時間をかけて整理すべきポイントがあります。
「何故転職するのか」を明確に
仕事や会社、人間関係に対する不満など退職を希望する理由は十人十色です。
しかし、その「仕事を変えたい」と思う感情に身を任せて転職へ踏み出してしまう前に、一度気持ちに整理を付けてみましょう。
今の仕事に向いていないと思うなら「いつ、どんな時に感じるのか」、就労時間が長すぎると感じるならば「どれくらいの勤務時間なら許容範囲なのか」など「辞めたい」から一歩踏み込んだ自己理解が大切です。
「転職先に求めるもの」を具体的に
転職する理由が明確になったら、そこから自分が転職先に何を求めているのかを具体的にしていきましょう。
仕事内容自体に納得していないのなら職種を変える必要があるでしょうし、待遇が見合っていないと思うなら給与や福利厚生が充実した転職先が自分の求めるものとなります。
人間関係や社風など求人情報を一見しただけでは判断しにくいポイントが転職理由であれば、企業の内部事情に精通している転職エージェントの活用なども視野に入れましょう。
業界や企業の研究を熱心に行う
転職活動において業界や志望先企業の研究を行うことは重要なポイントです。
生きた情報の研究は自分の糧になるだけでなく、仕事に対する意欲的な姿勢を面接官にアピールすることも出来ます。
業界研究の重要性
もしも転職先が未経験の業界だった場合、何の下調べもなしに転職を成功させることは難しいでしょう。
仮に内定がもらえたとして、その業界への理解が浅ければ仕事に馴染むのが遅れて後々苦労することになります。
目指したい業界で必要なスキルが分かれば事前に資格の取得や勉強を通じて、入社後になるべく早く戦力になるための準備が可能です。
業界にこだわるならば職種を問わず、職種にこだわるなら業界を問わず研究してみることで、自分でも思いつかなかった活躍の場所が見つかる可能性もあります。
業界が絞れたら企業の個別研究へ
自分が進みたい業界や職種が絞り込めたら、応募先企業の研究を熱心に行いましょう。
企業の経営理念や独自の取り組み、業態の特徴など、「何故他社ではなくこの企業に魅力を感じたのか」というポイントを書き出してまとめておくとよいでしょう。
書き出した内容はそのまま面接試験での質疑応答でも答えることが可能です。
業界や企業の研究は仕事への熱意を面接官へ伝える重要なポイントになります。
転職先との整合性を考える
第二新卒者が新卒者に比べて厳しい現状に置かれている理由の一つは「前職の勤続年数が短い」という点です。
第二新卒者として採用試験を勝ち抜くには「転職先」と「自分の将来」との整合性をよく考える必要性があります。
「長く働く意志」をアピール
前職が長く続かなかったという点で採用担当官は「この人を雇ってもまたすぐに辞めてしまうかもしれない」という不安感を抱いています。
何となく転職に踏み切ってしまい自分の考えがまとまっていない状態では、採用担当者のこの不安感を取り除くことは難しいでしょう。
採用担当者に「この人は長く働いてくれそうだ」と思ってもらうためには、自分の将来像と転職先に一貫性を持たせることが大切です。
例えば将来高度な法律関係の仕事をしたいと思っているのに、営業職への転職を希望していたらどうでしょう。
仕事を通して将来に活かせる知識や経験を効果的に積めるとは考えにくいのではないでしょうか。
「自分の目標に対して糧となる仕事をしたい」という整合性の取れたアピールができるように準備しておきましょう。
キャリアプランに矛盾がないようにする
理由はどうあれ意を決して前職からの転職に臨むのですから、この機会に自身のキャリアプランについて一度腰を据えて考えてみるのもよいでしょう。
自分のアクションと矛盾のないキャリアプランは転職後に後悔しないためにも大切です。
筋の通ったキャリアプランは強いアピールポイントにもなる
将来自分がどのような仕事がしたいか、そのためにどのようなスキルを見につけたいか、どんな資格を取得したいかを書き出して整理してみると筋道立ったキャリアプランを練り上げやすくなります。
また、その際には「いつまでに」というような具体的な目標を添えておくことでモチベーションの向上にも繋がるでしょう。
こうした具体的で筋道だったキャリアプランは採用試験の際にも有効で、自分の将来をしっかりと見据えることのできる先見性のある人物像をアピール出来ます。
また、長期に渡って自社で働くプランを持っていることの証にもなるでしょう。
面接までなかなかたどり着けないときの対処法
第二新卒者が転職する厳しさは書類選考の段階で既に始まっていると言っても過言ではありません。
なかなか思うように面接まで辿り着けないということも多いでしょう。
第二新卒者の書類選考には抑えておきたいコツがあるのです。
企業の採用試験は「新卒者」が中心
多くの企業で行われている採用試験は、新卒者の就職活動スケジュールを中心に日程が組まれています。
第二新卒者は基本的に働きながら書類選考用の履歴書など用意しなければならないため、平日の日程調整が難しいなど新卒者よりもタイトなスケジュールで転職活動を行うことになります。
加えて第二新卒での履歴書は新卒者とは差別化を図る必要があるので、なかなか自力で魅力的に書き上げるのは難しいと言えるでしょう。
転職エージェントの活用が効果的
中々面接試験まで辿り着けない場合の有効な対応策として、転職エージェントの活用が挙げられます。
転職エージェントに登録することで面接のスケジュール調整や履歴書の添削、面接指導など一人では手が回らないポイントまで支援してもらうことが可能です。
客観的な視点から自分の長所や短所を指摘してくれるので、より効率的な転職活動を行えるでしょう。

希望年収を決めるために自分の市場価値を見直す
働く上で年収を重要視する人も多いでしょう。
自分の生活に直結するお金だけに、シビアに検討したいポイントですよね。
第二新卒者が希望年収を算出するには、まず自分の市場価値を理解することから始めましょう。
第二新卒者の給与は安い?
企業側が第二新卒者を採用する際のメリットの一つとして「コストの安さ」というポイントがあります。
新卒者と比べて最低限のビジネスマナーやスキルが備わっているため、研修にかかるコストが抑えられるのです。
とはいえ、社会人経験も浅く「若手」というカテゴリに分類されることが多く、中途採用者などに比べれば基本給与も安く済みます。
前職の社風に染まりきっていないことからも、企業からの第二新卒者に対する評価はおおむね「柔軟性が高くコストのかからない新人」といった具合になるのです。

転職後の年収アップは十分可能
上記のことから第二新卒者として転職した場合、一時的に前職よりも給与が下がってしまうというケースは良く見られます。
しかし、第二新卒者の強みとして多少なりとも社会人の経験があるということを忘れてはいけません。
自分の持てる能力を活かせる仕ことや職場であれば、0からのスタートである新卒者よりも早くキャリアアップと昇給を狙うことが可能です。
転職後の年収ダウンは一時的なものと捉え、自分のスキルを活かして働ける環境に就くことがポイントと言えます。
同時に複数の企業を視野に入れてみる
転職活動で内定をスムーズに勝ち取るポイントは「最初から一つの企業に絞らない」ということです。
複数の企業を視野に入れることには様々なメリットが考えられます。
複数企業を受けることのメリット
自分の希望する業界の企業に複数視野に入れておくことで待遇や社風など、様々なポイントから転職先を比較することが出来ます。
一つの企業に的を絞って転職活動を行うと、万一その企業から内定がもらえなかった場合に時間のロスやモチベーションの低下が発生してしまうでしょう。
もちろん本命の企業を一つ定めて、その上で複数の企業に応募するという形式でもかまいません。
希望する業界で条件に見合う企業が無いのならば、思い切って同じ職種で違う業界の求人に手を伸ばしてみることも大切です。
一つに的を絞って、自分の可能性を潰してしまうことのないように気をつけましょう。
スケジューリングが大変なら転職エージェントに頼るのも一つの手
複数企業に応募するということは、それだけ用意する書類が増えることでもあり書類選考が通れば面接日も多くなります。
うっかり面接日が同じ企業に応募してしまったなんてことになっては、せっかくの準備が片方無駄になってしまいますよね。
そうしたアクシデントを避けるために、現職が忙しく転職活動のスケジューリングに自信がない場合は転職エージェントに頼ることも視野に入れておくとよいでしょう。
できるだけ選択の幅を広げてみる
第二新卒での転職活動は、新卒での就職活動に比べて全体的な求人数が少ないというのが現状です。
自分の希望に見合った職場を探しあてるためには、なるべく多くのソースを用いて求人情報に目を通すことが肝心です。
考えられる求人ソースは無駄なく使う
昨今では各転職サイトや就職支援サイトによる膨大な求人情報がインターネットで公開されているので、一人で仕事探しを進めることは十分に可能です。
しかし、インターネットに掲載されている求人情報が全てではないのです。
例えば転職エージェントに登録して直線面談すると、インターネットには掲載されていない非公開求人というものを紹介してもらえます。
非公開求人は基本的に条件がよいため、公開するとすぐに募集枠が埋まってしまうので公開されていないものが多いです。
ハローワークにも第二新卒用の求人情報が用意されているので、必要があれば利用してみるのもよいでしょう。
気兼ねなく話せる知り合いにツテがあるなら、空いているポストが無いか尋ねてみるというのも一つの手段です。
情報収集には手段を選ばず、様々な方面からの求人情報から自分の次なる活躍場所を見つけだしましょう。
転職活動が孤独にならないように気をつける
第二新卒者が転職活動を行う上で意外な強敵が「孤独」です。
転職活動はメンタル管理も大切なポイントになるので、孤独にならない環境作りにも気を配りましょう。
転職エージェントへの相談、理解ある家族や友人との会話も
前職の同期から離れて転職活動を行う第二新卒者は孤独になってしまいがちです。
上手くことが運べばそれでよいかもしれませんが、つまずいてなかなか転職活動が思うように進まない時、相談に乗ってもらえる人がそばにいないのは辛いものですよね。
転職に関するスペシャリストである転職エージェントであれば改善点のアドバイスもしてくれます。
転職活動におけるメンタルの重要性を理解しているので、心のケアにも積極的に応じてくれるでしょう。
転職活動を行っていることを打ち明けた家族や友人がいるならば、相談に乗ってもらうのもよいですね。
ただし、その場合には相談相手が自分の転職に理解を示してくれていることが前提となります。
転職に反対している人に相談しても「だから言ったのに」とつっぱねられてしまうかも知れません。
独りになってしまいがちな第二新卒の転職活動ですが、転職エージェントや周囲の人間関係に支えてもらうことで独りで戦っているのではないという勇気をもらうことができるでしょう。

ほかの年代に比べれば転職しやすい
第二新卒における転職活動のポイントを押さえることは出来たでしょうか?一般的に厳しいと言われているものの近年は企業側も第二新卒の採用に積極的ですし、要点を掴めばチャンスはいくらでもあるのです。
また、第二新卒のライバルは新卒者もしくは自分と同じ第二新卒者になります。
つまり、新卒者と同じ土俵に立って戦えるだけのポテンシャルは持っているのです。
そういう意味では、30代や40代といった年代よりも第二新卒は比較的転職しやすいと言えるでしょう。
次なる活躍の場を目指して、ポイントを抑えた転職活動で内定を勝ち取ってください。